【薬機法】そのPR、本当に大丈夫?企業やインフルエンサーが医療用医薬品を紹介する法的リスクとペナルティ

30秒でわかる!この記事の結論

【対インフルエンサー】 医療用医薬品(ダイエット薬等)のPRは、薬機法によりインフルエンサー個人も直接処罰(逮捕・罰則)の対象になります。

・【対企業】 「インフルエンサーが勝手にやった」「知らなかった」は一切通用しません。景表法・薬機法ともに事業者の「故意・過失」は問われず、行政処分や炎上リスクを負います

目次

はじめに:SNSに溢れる「医療用ダイエット薬」のPR、その裏に潜むリスクとは?

SNS上で「医療用医薬品の注射(または内服薬)で劇的に痩せた!」というインフルエンサーの投稿や、クリニックへの誘導を頻繁に見かけるようになりました。

フォロワーの注目を集めたいインフルエンサーや、集客を加速させたい自由診療クリニックなどの事業者にとって、これは一見、効果的なマーケティング手法に見えるかもしれません。

しかし今、こうした「医療用医薬品を一般消费者に向けてSNSでPR・紹介する行為」が、リーガルリスクのある大きな社会問題となっています。

「#PRと書いているから大丈夫」「責任は自分ではなく事業者(インフルエンサー)だ」なんて楽観的な考えでおられる方もいるかもしれませんが危険です。今回は法律家(行政書士)が、「薬機法」をわかりやすく解説し、事業者とインフルエンサーの双方が背負うリスクと、知らなかったでは済まされないペナルティについて徹底解説します。


要注目!薬機法六十六条の「何人も」

何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

キーワードは『何人も』です。

「何人も」とは文字通り「だれであっても」ということです。

たとえ企業(クリニック)からの依頼を受けてPRとして投稿したインフルエンサーであっても、あるいは個人のアフィリエイターであっても、SNS上で違法な表現(未承認の医薬品を勧めたり、誇大な効果を謳ったりすること)を流布すれば、その発信者個人がダイレクトに法律違反の主体となり、処罰の対象になります。

さらに「明示的であると暗示的であるとを問わず」とも定めています。例えば、
「ビフォーアフターだけの写真」「隠語や言い換えをする」こういったこともNGとなります。

最近話題の「マンジャロ」ダイエット用に宣伝するリスク

「マンジャロ」宣伝に注意

最近、SNSで「マンジャロ」という医療ダイエット薬(本来は違う)を聞きますよね。「マンジャロ」は、本来は「2型糖尿病」の治療薬として厚生労働省から製造販売承認を受けている医薬品です。

「医師が処方している正真正銘の本物の薬だし、自分が使って痩せた事実をレビューしているだけだからセーフでは?」と思われるかもしてません。でもそれは明確に違法行為です。

薬機法の第六十八条では、「まだ承認されていない医薬品(あるいは、承認された目的以外の使い方)」について、一般向けに広告・宣伝することを一律に禁止しています。

マンジャロの国からの承認 「糖尿病の治療」

SNSでの宣伝内容: 「ダイエット・肥満治療」

国(厚生労働省)は、その薬を「ダイエット用」としては安全性を認めてもいなければ、承認もしていません。それをインフルエンサーや事業者が「ダイエットに効く!」とSNSで拡散する行為は完全にNGなんです。

医師の責任で処方しているのでは?

自由診療のクリニックが、医師の裁量で糖尿病の薬をダイエット目的に処方すること(適応外処方)自体は、医療行為としては違法ではありません。

しかし、それを「SNSで一般消費者向けに宣伝・PRすること」は、医師であっても、インフルエンサーであっても、完全に違法です。


違反したらどうなる?知っておくべきペナルティ(罰則)

SNSなどで個人売買し逮捕されたというケースはありますが、正直なところ現時点で、今回の医療ダイエット薬のPRによって警察に逮捕されたインフルエンサーは、まだいません。

しかし、「まだ誰も捕まっていないからセーフ」と考えるのは早計でしょう。

また、逮捕(刑事罰)だけではありません。

経済的・社会的に一発アウトになるようなペナルティが課されます。もちろんクリニックだけでなく、発信したインフルエンサー個人も全く同じように処罰の対象になります。

1. 売上の4.5%を没収される「課徴金納付命令」(薬機法)

違反広告(匂わせ投稿など)を行っていた期間中、そのプロモーションによって得た総売上額の「4.5%(一律)」の支払いが国から命じられます。

  • クリニック側: そのダイエット薬(自由診療)で得た売上の4.5%
  • インフルエンサー側: そのPR案件で企業から受け取った報酬の4.5%

「利益」ではなく「売上」の4.5%なので、経営に致命的な額となるでしょう。

2. 「行政指導」と「実名の公表」

厚生労働省のネットパトロールや自治体の保健所は、日夜SNSを監視しています。違反が見つかった場合、まずは「投稿を削除しなさい」という是正命令(行政指導)が入ります。

これに従わなかったり、悪質だと判断されたりした場合、クリニック名だけでなく、インフルエンサー個人の「アカウント名や本名」が国や自治体のホームページ上で一般に公表されます。

医療機関としての信用が失墜するのはもちろん、インフルエンサーにとっても「違法広告で行政処分を受けた発信者」という情報が一生残るため、一瞬でアカウントの価値もやフォロワーとの信頼も失うでしょう。

まとめ:企業・アカウントの信頼を守るために

「まだ誰も捕まっていないから」「みんなやっているから」

そう言って、法律のグレーゾーンに触れるのは危険であるとお伝えしました。

  • 売上や報酬を強制没収(一律4.5%)
  • 国や自治体のHPに実名・アカウント名が晒され、社会的に信用を失う

ネットで簡単に発信できる今、コンプライアンスを守り、地道に、堅実にファンを増やしていくが一番ではないでしょうか。


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実際の投稿など、気になった方もいるかと思います。現在運用しているアカウントの投稿例(許可済)も載せています。ぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

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