訪問看護ステーション立ち上げ完全ガイド!開業スケジュールと全体像【現役PT×行政書士】

医療・介護設立支援
困子
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自分で訪看を立ち上げてみたい…でも何からしたらいいの?

管理人
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色々と不安ですよね…開業から逆算した全体スケジュールを把握することから始めましょうか!

私は現在、老人保健施設(老健)で理学療法士として勤務していますが、兼務として訪問看護ステーションからの訪問リハビリにも携わっています。そして、行政書士として開業予定(R7合格見込み)でもあります。

現場を知る者として、在宅医療は間違いなく必要です。

厚生労働省によると、在宅医療は「高齢になっても、病気や障害の有無にかかわらず、住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるよう患者の日常生活を支える医療であり、地域包括ケアシステムの不可欠な構成要素である」と定義されています。

特にコロナ禍以降、在宅ケアの需要は年々増しています。その中で、 「自分たちの理想とするケアを提供したい」 「地域の方々が自分らしく生きる手助けをしたい」 そんな熱い想いを持って、訪問看護ステーションの開業を志す方は多いのではないでしょうか。

しかし、理想を実現するためには、避けては通れない「高い壁」があります。それが、複雑な法律、人員基準、そして膨大な書類手続きです。

「何から始めればいいの?」という不安を解消するために、今回は開業までの全体ロードマップを時系列で整理しました。ぜひご活用ください。

ステップ1:会社を設立する(目安:6か月前)

訪問看護の指定を受けるためには、「法人格を有していること」が絶対条件です。個人事業主として始めることはできません。訪問介護で選ばれる法人格はいくつかあります。

⭐どの法人格を選ぶべきか?

訪問看護で一般的に選ばれるのは、「株式会社」「合同会社」のどちらかです。

  • 株式会社
    • 社会的信用度が高く、スタッフの採用や金融機関からの融資に有利。将来的に「介護事業以外の別事業もやりたい」「外部から出資を受けたい」と考えているなら、圧倒的に株式会社の方が仕組みとして整っています。
  • 合同会社(LLC)
    • 設立費用は比較的安く、意思決定がスピーディー。ただし、株式会社に比べると認知度が少し低い。

または、「公共性・非営利性」のイメージを重視したい場合は一般社団法人やNPO法人という選択肢もあります。

下に表でまとめてみました。↓

法人格設立費用の目安特徴・メリット訪問看護での傾向
株式会社約20〜25万円社会的信頼度が最も高い。資金調達や採用に有利。一番多い。将来の多角化にも向く。
合同会社約6〜10万円安い・早い。意思決定がスムーズ。急増中。小規模スタートに最適。
一般社団法人約11〜15万円「非営利」のイメージがあり、地域密着感を出しやすい。福祉色の強い事業所が選ぶことがある。
NPO法人約0円(実費のみ)公益性が非常に高い。ただし設立に半年ほどかかる。補助金狙いや特定の社会貢献目的。
💡アドバイス 最初はコストを抑えて合同会社でスタートし、浮いた予算を「リハ機器」や「訪問車両」の充実に回すのも一つの戦略です。一方で、大規模な展開を考えているなら、最初から株式会社にしておくと信頼感を得やすくなります。

ステップ2:指定申請に必要な要件をそろえる(目安:4か月前)

指定申請とは?  国から報酬を受けられるための手続きのことです。この申請が通らなければ国から報酬を受けられません。指定を受けて初めて『訪問看護ステーション』になれます。

指定申請には大きく分けて3つの要件があります。

指定基準① 物件選びと並行して「設置基準」をクリアさせる

物件探しは、ただ「立地が良い」「家賃が安い」だけで決めてはいけません。訪問看護ステーションとして指定を受けるための「設置基準」を満たしているか、契約前に必ずチェックする必要があります。

後から「基準を満たしていない」と判明すると、追加の改修工事が必要になったり、最悪の場合は指定が下りず、物件を借り直すという大損失が発生してしまいます。

  • ⭐設備基準 ここがクリアできないと許可が下りません!
    • 事務室:机や椅子、書類棚が置ける広さが必要です。
    • 相談スペース:プライバシーに配慮し、仕切り(パーテーション)や個室が必要です。
    • 手洗い場:感染症予防のため、石鹸や消毒液を備えた洗面台が必須です。

これらをすべてクリアできるような物件を選びましょう。

👀現場からの視点 訪問用車両や自転車の駐輪スペースは確保できていますか?また、スタッフが戻ってきた時に記録がしやすい「電源とWi-Fiの配置」も、後の業務効率に直結します。

指定基準② 人員を確保して、人員基準をクリアする

訪問看護の最大の壁は、何といっても人員配置基準に定められる「看護職員」の人数を確保することでしょう。規定された人数、職員としていなければ認められません。

  • ⭐人員基準  2.5人のルール
    • 保健師・看護師が常勤換算で2.5人以上必要です。
    • 療法士(PT・OT・ST)は「適当数」でOKですが、リハ職が中心となるステーションでも看護師の基準は絶対に崩せません。
  • 雇用契約書や労働条件通知書をこの時期に整備します。指定申請では、スタッフの「資格証の写し」や「勤務表」が必要になるため、早めに準備したほうが良いでしょう。

運営基準③ 事業所の「ルール」を作成する

指定申請では、以下の項目を決めて、書面(運営規定など)にする必要があります。

  • ⭐運営基準 基準に伴ったルールが作られているか
    • 営業日と営業時間 「月〜金の9時〜18時」など、いつ開いているかを明確にします。
    • 24時間連絡体制 夜間や休日に利用者様から連絡があった場合、どう対応するかを決めます。
    • 苦情処理の体制 トラブルがあった時の窓口や、自治体への報告手順を整えます。
    • 協力医療機関との連携 緊急時に受け入れてくれる病院やクリニックをあらかじめ決めておきます。

ステップ2のまとめ:指定申請の「3つの要件」

ステップ2では、物件(設備)を探しながら、人(人員)を集め、ルール(運営)を固める必要があります。

  1. 設備基準(ハコ:相談室はあるか?)
  2. 人員基準(ヒト:看護師2.5人はいるか?)
  3. 運営基準(ルール:24時間対応できるか?)

この3つがすべて揃って、初めて「指定申請」の準備が整います。

  • 注意点
    • 基本的には、開業したい月の前々月の末日までに書類を提出しなければなりません。(例:4月1日開業なら、2月末日が締切)
    • 膨大な書類を作成する必要があります。平面図、運営規定、苦情処理の体制、協力医療機関との契約など、100枚近い書類を揃えます。ここでの不備は「開業の遅れ」に直結するため、非常に神経を使う作業です。
    • これらの書類提出に関しては、ご自身でも行えますが、行政書士などプロに頼むのが良いでしょう。

ステップ3:最終準備・営業(目安:1か月前)

指定が下りる見込みが立ったら、ラストスパートです。

  • 【備品・システムの導入】 レセプト(報酬請求)ソフトの選定や、訪問用のバッグ、血圧計、ユニフォームを揃えます。
  • 【地域への挨拶回り】 近隣のケアマネジャーや病院のソーシャルワーカーへ挨拶に行きます。「リハビリに強い」「24時間対応可能」など、自所の強みをアピールしましょう。

まとめ:理想のステーションに向けて

こうして見ると、やるべきことは多岐にわたりますが、一つひとつは「理想のケア」を実現するための土台作りになっています。この記事があなたの夢の一歩を踏み出す機会になれば幸いです。

次回からは、それぞれの要件について深掘りする記事や、現場視点の記事などいろいろなトピックで作成していきます!

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