【介護に特定技能2号はない】介護ビザで必須の「介護福祉士」最短ルートを現役PTが解説

さっそくですが、介護分野は特定技能2号はないんです。その代わり、「介護ビザ」というビザが存在します。「他の分野は2号があるのになぜ介護は別枠なのか」不思議に思う方いらっしゃると思います。今回は、介護分野のビザの歴史から介護ビザで必須の「介護福祉士」について現役理学療法士(以下PT)が解説します。
このブログでは
・介護ビザの歴史をざっくり
・外国人が介護福祉士を受ける難易度
・効率よく合格するためには?
介護ビザの歴史
もともと入管法において、介護は「単純労働」とみなされ、ビザの対象外だった。しかし、超高齢社会の到来を受け、在留資格「介護」が新設される。ただし、「介護福祉士を持っていること」が絶対条件だった。「高度専門職」として誕生した。
「介護福祉士しか認めない」という方針では、現場の急激な人手不足に追いつかず。「実務者・即戦力枠」として介護ビザよりハードルを下げた「特定技能1号」が登場。
他の分野(建設や造船など)では、特定技能1号の5年が終わった後の「受け皿」がなく、熟練した人向けの「2号」が登場。しかし、介護にはすでに①で登場した「在留資格:介護」があり、介護分野は2号に入らず。
介護分野に「特定技能2号」が用意されていないのは、不遇だからではありません。むしろその逆で、「介護福祉士という国家資格を持った、より上位の専門職ビザ」が、特定技能制度が生まれる前から既に登場していたからなんですね。
外国人が「介護福祉士」を受験するには?
外国人が日本に来て、「はい、試験受けます」なんてことはできません。介護福祉士を受けるまでの壁があるんです。
日本の国家資格「介護福祉士」を取得し、在留資格「介護」へ繋げるには、主に以下の3つのルートが存在します。どのルートが最適か見定める必要があります。
| ルート | 対象・特徴 | 試験までの条件 |
| 1. 実務経験ルート | 特定技能や技能実習生が通る道。働きながら目指す最も現実的なルート。 | 3年以上の実務経験 + 実務者研修の修了 |
| 2. 養成施設ルート | 留学生が日本の専門学校等に通う道。体系的に学べるが学費負担が大きい。 | 養成施設(2年以上)の卒業 |
| 3. EPAルート | 経済連携協定に基づき入国した「候補者」。国同士の特別な枠組み。 | 3年以上の実務経験(手厚い学習支援あり) |
現在、現場で最も多くの外国人が選択している「メインルート」は①の実務経験ルートです。働きながら目指せる点が大きいです。
ですが、夜勤もあるこの介護業界では、勉強時間の確保が難しいですし、受け入れ施設側が勉強を教えるという負担も発生します。実際、私の勤務先の老健でも毎年受けてはいるが、残念ながら落ちてしまっている子がいます。
【外国人から見た】「介護福祉士」の難易度は非常に高い

介護福祉士国家試験の合格率は、日本人を含めた全体では例年70〜80%前後で推移しています。しかし、外国人受験者に限定すると、その数字は30〜40%台となっています。
介護福祉士の試験は、もちろん、外国人も日本語で受けます。ただでさえ日本語が難しいのに、さらに「褥瘡」や「拘縮」など専門用語がたくさん。理解するのに日本人以上に時間がかかるようです。
私はPTとして老健(介護施設)に努めています。私の施設での工夫や私自身、試験を受ける外国人にどのようなサポートをしているのかお話します。
【リアルな声】現場のサポート体制
私たちの施設では、その年に試験を受ける日本人・外国人の混合チームに対し、業務後の18:00から21:00までの3時間、多職種が交代で教壇に立つ「自社での実務者研修」を行っています。講師陣は、ケアマネ、看護師、介護職、そして私たちリハビリ職が担当しました。
PTとして伝えた「こころとからだ」の連動
自社での実務者研修では、リハビリに関してで言うと「こころとからだのしくみ」や「生活支援技術(移動・移乗)」について講義をしました。途中、実技として日本人・外国人がペアとなり協力しあうようなセクションを設けるようにもしました。
日本人が「利用者役」になり、外国人が介助する→ 日本人は、外国人の不慣れな日本語が、利用者様にどう聞こえ、どんな不安を与えるかを肌で感じることができる。そして感じたことを交流できる。
外国人が「利用者役」になり、日本人が介助する→外国人は、日本人の技術や声掛けのタイミングを吸収できる。
互いにフィードバックし合うその姿は、試験対策だけでなく、明日からのチームケアの質を引き上げることにも繋がりました。
自社での実務者研修は、難しい漢字や表現がある教科書内容を、聞き合えるような場ともなり、良い講義となったと感じています。
分からないことを「分からない」と言える。難しい表現をその場で「聞き合える」。そして周りのスタッフで「支える」。
この心理的安全性が、高い壁に挑む彼らにとっての最大の支えであり、合格率30%の壁を突破するための「最短ルート」なのだと確信しています。
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